英語で言うところのNINGEN ISU。
人間椅子。
当初、私には理解不能な存在だった。
私は当時TVで彼らの出演を見ていた。
圧巻の演奏に引き込まれつつも、しかし、
そのわけのわからない出で立ちと、
当時の彼らのボーカルスタイルに正直「なんやこれ」という感想で締めくくってしまった。
少しだけ時が流れ、当時の知り合いが人間椅子のファンだと言い出した。
若干忘れかけていた記憶が巻き戻される。
わたしは
「えっ???あれの?」
みたいな酷い反応をしてしまったと思う。
しかし彼はめげずに当時発売されていたアルバムを私に無理やり貸してきた。
そしてこうも言ってきた。
「ライブがすごいんだよ!一緒に行こうよ!」
私は狼狽した。
とても行きたくない。
その…ボーカルが好みじゃないと聞き続けるのがつらい。
それが私なのだ。
借りたアルバムは羅生門がちょっといいなとは思ったが…
結局ライブには行かず彼とも疎遠になってしまった。
アルバムは返したが、私が貸したお気に入りの音源は帰ってこなかった。
また少し時が流れ、彼らの「踊る一寸法師」を何となく手にする。
ああ、メジャー契約なくなったんだな…などと下世話なことを考えていた。
そこに「どだればち」が流れてきた。
久しぶりに「聞いたことも無いハードロック」という感覚が全身を震わせた。
なんだこの天才の所業!?
おどろいて例の彼に連絡してみたがもう引っ越したのか電話はつながらなかった…
そしてその後、頽廃芸術展あたりから
ほぼアルバムをおいかけることになる。
頽廃芸術展は胎内巡りと天体嗜好症がお気に入りで
なかなか聞きこんだ。
売れなそうだなって思いながら(笑)
そのあとは発売を知らずスルーしたアルバムもあり…
当時は音楽メディアに全く興味をなくしていたので、
新譜の発売のタイミングやメンバーチェンジの情報など
ほぼ知らぬリスナーとなっていたのだ…
そこで手に取ったのが「三悪道中膝栗毛」だった。
ドラマーが変わったらしい。
それを知らずに聴いても、何かが変わったと感じた。
このアルバム、全編通して私好みの曲が詰まっていた。
ザ・ハードロックというにふさわしい。
あいかわらずちょっとボーカルが気になる曲もあったが…補ってありあまる。
この時期としては「過去最高傑作なんでは?」とすら思ってしまった。
ブラックサバスリスペクトの匂いも濃くて、
それでいてヘビーさの薄い曲も実験的で、
ツェッペリンの陰すら感じてしまう。
何度も何度も聞いてしまった。
特に「悪霊」がたまらなく気に入った。
ビートが前に出る。
曲がまっすぐこちらに向かってくる。
難解さよりも、まず身体が反応する。
なんとなくビルワードのドラムを意識しているのも感じられたが、
そんなことよりとにかくパワフルなリズム。
この頃のアルバムは必要以上に猟奇的なやり過ぎ感のある詩もかなり減ったように思う。
初期の彼らは、どこか「気持ち悪さ」を武器にしていた。
それはそれで魅力だったのだろう。
だが私は正直、少し距離を置いていた。
その“やり過ぎ”が影を潜め、
世界を語る言葉が増えた気がする。
個人的には大歓迎だった。
ここから先のアルバムはほぼすべて手にしている。
全く意識していなかったが…たぶん半数以上の音源持ってるな。
…最新作の「まほろば」なんて予約して買って聞いている。
…これ、立派なファンなのでは。
いや、ただの長期観測者かもしれないが。
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